両家への挨拶が済んだあと、一つだけ結婚の条件が出された。
それは、「結婚式を挙げなさい」ということ。
私たちは金銭的問題もあるし、時間の問題もあるということで、当面は挙式をしない方向で話が進んでいた。
また、近年は結婚式をしない夫婦も増えていることから、特段、それがそんなに重要な問題とは考えていなかった。
しかし、両親の世代になると、入籍だけと言うのは「けじめ」がないとのことと、また、金銭面の援助をするから花嫁姿を見たいという私の母の強い希望により、渋々ながら動き出すことになった。
何も考えていなかった私たちだったが、ひとまず予算を頼りに、式場探しを始めることとなった。
と言っても、ここは、やはり男性の不得意とするところのようで、全体的に私が一任されていた。
私の独断と偏見により、「みんなのウェディング」というサイトからフェアの予約や、見積書依頼を気になる式場に片っ端からお願いしてみた。
見積書の今まで見たことのないような金額と各項目単価、消費税の増税影響に慄いた覚えがある。
何をもっとも優先するかを婚約者と相談しながら、秋の挙式を予定していたため、急いで休日の二日間でフェアを四か所回りきった。
良い式場は一年前から埋まっていると噂で聞いていたため不安ではあったが、何とかお互いが満足する式場を予約することが出来た。
式場選びは、日取りに関係なく、行動力と決断力が重要視されるのだということを実感した経験だった。